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ひろちょび


高田:想像してください。

広川:・・・・・・

高田:あなたは、時速80km/hでプールサイドを走っています。

広川:・・・・・・

高田:どんな気分ですか?

広川:・・・・・・

高田:どんな気分ですか?

広川:・・・・・・

高田:どんな気・・・・おい、広川?広川!?



   ・・・ダメだ、妄想の中とはいえ気絶しているようだ。
   これはよくない。

   何故だ?
   いったい何故だ!?
   何故広川は気絶しているんだ!?

   ・・・ちょっくら考えてみるとするか。

   まず俺は何をした?
   そう、「時速80km/hでプールサイドを走ってい」る、という状態を想像させた。
   もしかしてこの想像が、広川を気絶に追いやったのではないか!?
   ・・・だとすると、広川はどんな状態を想像して気絶したんだ?



【ケース1】プールサイドを走る自分を想像した事による気絶



高田:そもそも、プールサイドを走るという行為が、広川にとって何か特別な事を意味していたのではないか?
   広川が過去にプールサイドを走っていたら何かが起こった、とか。
   うーん、でも俺、あんまり広川とプールの関係については知らないし・・・

   そうだ!俺がもしプールサイドを走ったと仮定してみて、
   何か不都合のある事態にならないかどうかを検証してみればいいんだ!
   よし、妄想を働かせるぞ!



   まず、俺がプールサイドに立ち・・・
   プールサイドを走り始めました、と。

   プールサイドを走る・・・
   プールサイドを走る・・・
   プールサイドを・・・!!!



   ・・・これは大変な事に気づいたぞ。
   もしプールサイドを走り続けたら!



   元の場所に戻るではないか!!!



   つまり、プールサイドを走るという行為は・・・
   同じ所をぐるぐると回る、という行為に置き換えられる!!

   うん、これは端から見て変態確定だな。
   見られたら間違いなく落ち込む。
   落ち込むけど・・・
   想像しただけで気絶する、と言うほど致命的だとは思えない。
   俺の知ってる広川は、周りから変態だと思われて気絶するような男じゃない。

   じゃあ何だ?プールサイドを何回も走り回って気絶、と言うことは・・・
   ・・・もしかして、あまりに高速で走ってて、
   1週前の自分に追いつきそうになった、と想像したとか!?

   うひゃぁ!そうなるとこれは気絶ものだなぁ。
   何せ、自分の後頭部が見えるわけだからなぁ。
   こりゃぁ、びっくり仰天って奴だ。

   そうだなぁ、プールサイドの周りを光の5倍くらいの速さで走れば、
   きっと自分の後頭部が見え・・・



   ・・・待てよ、確か俺は、『時速80km/hで』走ってる、と言ったよな。
   だとすると、自分の後頭部が見えるほど速くはないもんな。
   そして俺の知ってる広川は、俺の言った指示速度を守るような男だ。
   俺が時速1m/s以内で走れと言ったら、1m/s以内で走る。
   それが妄想の中であろうと変わらない。広川はそういう奴だ。

   じゃあ何故、広川は気絶を・・・?



【ケース2】時速80km/hで走る自分を想像した事による気絶



高田:・・・そうか、そもそも時速80km/hで走ってる、
   その状態が広川を気絶に追いやった事も考えられるな。
   うーん、さっきと同じように妄想を働かせてみるか。



   適当な場所に立ち・・・
   時速80km/hで走り始め



   ・・・待てよ?俺、時速80km/hで走った事なんかないぞ?
   どうすれば時速80km/hも出せるんだ・・・?

   も、もしや!広川は時速80km/hで走る自分が想像できなくて、
   そんでもって思考回路がショートして気絶に至ったのでは!?

   ・・・いや、それはない。
   俺の知ってる広川は、どんな時でも周りの奴を明るくするような奴だ。
   彼は、いわば心の中にいくつもの発電所を持っている。
   だから、思考回路の1つや2つがショートしたって、
   すぐに心の発電所が作動して、正常な状態に戻してくれるはずだ。

   つまり、広川は、自分が時速80km/hで走る事を、何の咎めもなく受け入れられる。
   その想像だけで気絶に至るはずなんかない。



【ケース3】時速80km/hでプールサイドを走る自分を想像した事による気絶



高田:・・・ということはつまり、
   時速80km/hで走り、なおかつプールサイドを走っている、というところに問題があるのではないか?

   よし、同じように俺が走ったと仮定して妄想してみよう。
   この際、何故時速80km/hも出せるのかは無視だ。



   プールサイドに立ち・・・
   時速80km/hでプールサイドを走り始めました、と。

   プールサイドを走・・・おっと危ない!
   プールサイドを走・・・うわぁあぁ!
   プールサイドを走(ドカッ じゃっぽーん)うわぁ、ごめんなさい!



   ・・・プールで遊んでいるたくさんの人々にぶつかりそうになる俺。
   中には本当にぶつかってしまい、プールに飛び込ませてしまった人もいる。

   しかし、何週かしているうちに、時速80km/hで人を完璧に避けるテクニックを習得した俺。
   俺はプールサイドで人を避けながら走り続ける!



   俺はプールサイドで時速80km/hで人を完璧に避けながら走り続ける!!



   すげぇ!俺すげぇ!俺のテクニックとテクニック習得能力に感動した!!

   はっ!・・・待てよ、ってことは広川は、俺と同じような事を想像して、
   そんなすごい自分に驚いて気絶したのではないか!?
   そのようなすごい状態に自分があることに、頭が回らなくなって思考回路がショートして、

   ・・・待った、また同じ過ちを犯してしまった。
   広川には心の発電所がある。さっき考えたばかりではないか。
   そう、彼は自分が何かを妄想したくらいでは気絶しない。

   ・・・ということは、自分の考えている事ではなく、
   もしかして体の不具合により気絶したのではないか!?



【ケース4】熱中症による気絶



高田:・・・しかし、俺の知ってる広川は、熱中症になりそうな時、必ず水分を補給するような男だ。
   だから多分、熱中症が原因ではなさそうだ。

   ん、広川の顔、何か青いぞ?・・・まてよ、これは・・・窒息してる!?



   おい、大丈夫か、広川!広川!?



【ケース5】俺による絞殺



高田:・・・バカ!何を考えているんだ!
   俺は今、たまたま首をゆすっただけじゃないか!
   俺に広川を殺す意思も動機も・・・

   (ユッシャユッシャユッシャユッシャ)

高田:・・・あれ?何か首をゆすったわりには
   広川の喉にはいったい何が詰まって・・・



広川:・・・・・・はっ、はっ、

高田:え?

広川:はーーーーーーーーーーーーっくしょん!



   (ドンガラガッシャラッシャガシャラーン
    ジャブガラジャブジャブジャブジャラジャラ
    ザッパーンジャッポーンドッパーーーン!!!)



広川:ふぅ、スッキリした。
   ・・・あれ、待てよ、俺こんなところで何してるんだ?

   はっ、そうだ。確かあの時俺は熱中症で倒れる寸前で、
   何か水分を取らなきゃ!と思ってて、
   その時たまたま近くにプールがあって、

   『そういえばプールの水って消毒されて塩素とか入ってるから、
    真水じゃないので熱中症の時に飲むのは効果的かもなぁ』

   とか思って、それでもってプールの水をプールサイドごと飲み込んで、
   プールサイドが喉に詰まって窒息したんだ、そうだ思い出した思い出した!



   いやぁ〜、プールサイド吐いたらスッキリしたなぁ。
   そういえば、俺が窒息した直後、まだ意識が朦朧としてたとき、
   何か見たことのある人に話しかけられたような気が・・・

   って高田、こんな所でプールサイドの下敷きになって何してるんだ?



警官:(うろちょろ)



広川:・・・警察?ということは・・・ま、まさか!
   これって俺が高田をプールサイドのようなもので殴って気絶したみたいになってる!?

   しまった、逃げなきゃ!

警官:ん?・・・あれ、もしかして人が下敷きになってる!?
   こらー、そこの人待ちなさーい!!

広川:うわぁ、逃げろーーー!!




―――その時、広川を追いかける過程で警官は、確かにプールサイドを走っていた。
   この事は翌日の新聞で一面に取り上げられ、警官の不祥事は全国的に知れ渡る事となった。
   警官は即日懲戒解雇処分となった。



   『プールサイドを走ってはいけない。』



   この神聖なる掟を破る者は、必ず罰せられるのだ。

   そう。

   プールサイドで走る事を広川に想像させようとしたり、
   脳内で何度もプールサイドを走ったりしたあの高田が、
   未だにプールサイドの下敷きになっているように・・・













結果発表






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