予選審査会場

今回見て頂く作品:黒煙/水槽の一日(静寂死)(オフザケ抜きで)

審査フォームはこのページの下部にあります。
記入事項には全て記入して下さい。記入漏れがある場合は採用されませんので。




黒煙

ある晴れた昼下がり、木洩れ日の下
独りで夢を見るボクが二人
何かを見上げたまま固まって、
その小さな姿に似合わない位に笑顔が憎たらしい
「何がそんなに寂しいの?今更、振り向いたってもう遅いのに――――。」

ある晴れた昼下がり、木洩れ火の下
独りで夢になるボクが二人
ぶら下げた細く黒い腕に
その小さな姿が在った記憶は残っていないらしい

ママに褒めてもらう為に頑張った逆上がり、今日は出来るかな?

あれは未だ夏の暑い日の事でした 蝉の現実逃避の群れ
孤独に慣れてしまった少年は、今日も影を背負いながら
ずっと動かない友達を握り絞めて笑っていました
憎しみ込めて土を蹴り上げ、今日も「ボク」を背負いながら
ずっと動かない友達を回り続けて遊んでいました
未だ出会ったばかりだけど、良い友達なのです
すっかり赤くなってしまった掌、ずっと手を離さなかった
錆付いた思い出をぶつけ合って二人、
この瞬間を見て、ママは喜ぶのでしょうか?

汗まみれになった顔を見合わせ微笑んだら、
何だかとても軽くなれた気がするんだ、君には解るよね?

濡れた手繋いで、また遊ぼうね、って
暗くて明るい泣き顔で笑っていた瞬間、一瞬でした
汚れた足で思い切り土を蹴り、最後の逆上がりをしよう
逆立ちした景色が空へ昇ってゆく様な気がすれば、
友に裏切られた少年の背負うものが消えてゆくのでした


ボクの過去は黒煙が全て埋め尽くした




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