No.11 - No.15



家族公園/むし326

ねえ君、僕の家に遊びに来なよ 居間にはジャングルジムくらいしかないけどさ

でも笑わないで見てね ジャングルジムの解体ショー見せてあげるよ

こいつ、夜中とかに よくギシギシ軋んで騒がしい

僕に文句ばっかり言って ガリガリモーター音、起てるんだ

雨の日に傘なんか差して、 置き場所に困るくらいなんだ

でも今日限りで解体しちゃうからさ 君、見においでよ

ショーの途中でそいつは叫び声を上げるかも知れないけど、

見においでよ



そうだ

ねえ君、滑り台に興味は無いかな よく朝にはトイレに篭ったり、

急に居なくなって、夜半過ぎに 唐突に帰ってくるような滑り台だけどさ

とてもじゃないけど滑れやしない、 でも、君眺めにおいでよ

別にこれは解体したりしないけどさ、 今はね

でも風吹きの日なんかに、 ゴウゴウと気味鳴りが五月蝿いから

絵の具をばら撒いて、 真赤赤にしちゃおうかな

その油絵の具は水分があるけど、 乾きやすいから直ぐに濁ってしまうけどね

ほら見においでよ 赤く、赤く





君は、ブランコが似合うよ

きっと、ね




肉吸い/眼球倶楽部

「寒い」



突然すぎるお別れでした。
悲しいとかいう気持ちも無い。
星はそれでもやっぱり見えて、光だけが僕に刺さりました。

「ずっと、好きでした」「僕も気になってました」「それじゃ付き合いましょう」「僕たちは永遠だね」

突然すぎるお別れでした。
悲しくないから涙も出ない。
頬はそれでも微妙に震えて、光を見せることを恐れて。

「きっと、違ったの」「本当にそう思う?」「それじゃさようなら」「僕たちは嘘つきだね」

割れた天窓のガラス片を拾い集めて、一つ言葉を作る。
透き通る色を見て、映る空を見て、この体うずいてる。
暖かい明かりはあげられないけど、冷たいこれは君にあげるよ。
美しく散った僕の夜空は、朝になってもまだ暗いまんまで―――。



「ずっと、好きでした」「僕も気になってました」「それじゃ付き合いましょう」「僕たちは永遠だね」
「きっと、違ったの」「本当にそう思う?」「それじゃさようなら」「僕たちは嘘つきだね」
夜空は綺麗な星々に、騙された!

割れた天窓のガラス片を拾い集めて、一つ言葉を作る。
透き通る色を見て、映る空を見て、この体うずいてる。
暖かい明かりはあげられないけど、冷たいこれは君にあげるよ。
美しく散ってった僕の夜空は、朝になってもまだ暗い、まんまで―――――――――。



寒い、暗い部屋は、僕の抜け殻をずっと見ていた。
夜露を感じた僕はただひたすらに濡れて。
消えた二人の残骸は、何もかもを吸い尽くした様に。
気が抜けちゃった僕は、ずっと、言葉を唱え続けたんだ。
初夏の夜はまだ冷えていて、雲の流れは強く、早くて。
寝静まった街は、僕一人には重すぎて。
雨も降りそうにないのだ、でも湿っているから嫌だ。
君が抜けちゃった僕は、もっと、強く言葉を叫びたかったんだ。
夜は、それを、許さなくて、だから、僕は、君の、笑い顔、考えて、考えて、考えて、考えて、そっと、呟いたんだ。



割れた天窓のガラス片を拾い集めて、一つ言葉を作る。
透き通る色を見て、映る空を見て、この体うずいてる。
暖かい明かりはあげられないけど、冷たいこれは君にあげるよ。
美しく散ってった僕の夜空は、朝になってもまだ暗いまんまで。

白っちゃけた綺麗な視界は、一つ言葉を滲ませる。
傷んで穴だらけの肺から出された精一杯の呟きは、季節外れの白い息になってゆっくり残る。
窓が割れ星が見える僕の部屋は、これから先もずっと寒いまんまで――――――――――――――――――。




一つ、言葉を作る。


















































「死ね」






人間/ピーコのメガネ。

目を覚ましなよ
羽なんか生えてないよ
君は空を飛べないよ

夢見てんなよ
羽なんか生えてないよ
君は雲を越えないよ

例えばそう
そこから踏み込んでみな
一瞬錯覚起こすけど
身元不明が成れの果てさ

butこれは絶望じゃない
鳥になれない結構じゃない
俺は人間 君は人間


例えばそう
地面を蹴り出してみな
一瞬錯覚起こすけど
多分そいつはただのジャンプ

butこれは絶望じゃない
鳥になれない上等じゃない
俺は人間 君は人間


幻に酔っているんだろ
時間は止まりゃしないさ
来週の月曜日には
リアルの重さが秤を壊すぜ

butそれは絶望じゃない
君の冴えない妄想じゃない?
僕は人間 君は人間

あぁそうさ絶望じゃない
歩けるんなら結構じゃない
俺は人間 君は人間

たかが人間 されど人間
人間 人間 人間forever




虚空の少女/ゲームのBGMに詞をつけて歌うことが趣味の大原君

舞い上がる爆煙と いつも生きてゆく
悲しみ抱きかかえ 生きてく
それが 私の運命

忘れることは諦めてた
いつも泣いて ボロボロに破られてく
そしてたどり着いた 憎しみに
一つずつ落としていく
ガラス玉は砕け散って忘れられる
忘れないよと言って 忘れ去った

いつかは終わると 死に急ぐように
戦うことの 意味も見つけずに

閃光煌いた そして消えてゆく
ぬくもりとは違うよ
もう泣かないように 虚空と溶け合う
舞い上がる爆煙は いつも違うね
それでも変わらない
私の心は 何もない

いつの日にか来るであろう
幸せな時間なんて どうせ私には関係はない
憎しみと悲しみ
それだけを手に生きてきた
それが無くなるのが 少し怖かった

「いつまで続くの?」 そう聞いたのに
こんな日々が 続くこと祈ってた

舞い上がる爆煙と いつも生きてゆく
悲しみ抱きかかえ 生きてく
それが 私の運命だ そう信じた
誰かがいつか 教えてくれた
「いつか終わる日が来たら
 誰もが笑い合えるから」
だけど 私はもう 笑えない




風吹く森/Baoh Break Dark Thunder Phenomenon

一輪草の咲く場所に 誘いの長い指
忘れかけた季節が 今一度甦る
穏やかな白昼夢 置き去りにしながら
行き先も告げずに 歩き出す少女は微笑む

見えてくる 森の中へと消える

軋む長い橋を ゆっくりと渡る
時計の止まる時 少女はもういない

風の吹く森の中で 糾われた遠い過去
微かな恥じらいに 戸惑いの横顔



顔のない落葉を見つめ 夢の星数える人
藍色を待ち侘びて 自分の影を見ている
瞳の裏側が 見抜かれてしまう時
差し込む木漏れ日 一瞬の午睡を楽しむ

闇が来る そして光が散らばる

月影に照らされて 宙を舞う虫たち
幻の欠片に 絡まって弾ける

風の吹く森の中で 思いここに留めて
朧げな記憶の底 旅人の涙が



声がする 誰かが呼んでいる

指先の向こう側 時は渦を巻く
絶え間無い調べ 空から降り注ぐ

風の吹く森の中で 語り継がれるものたち
大地に溶ける時 風はまだ止まない

風はまだ止まない








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